2009年2月27日

第13回-面接試験の服装について-

アルテ室長:

 受験生の皆様、公務員試験勉強は進んでいるでしょうか。2月が終わります。各種公務員試験の試験日程や総合案内が続々と発表されている時期なので、忙しい中でもそういった情報は必ず確認しておきましょうね。

 「勉強に集中し過ぎていて試験の申込み受付期間を忘れていて、受験申し込みをし忘れちゃった!(爆笑)」みたいな絶望かつ悲惨な状況に陥ることだけは避けたいところですから。

 国家公務員試験は国家公務員試験採用情報ナビの国家公務員試験採用試験日程で、地方公務員試験はLASDEC等のサイトから各地方自治体の採用情報ページにアクセスして、直接試験日程等最新の情報を確認してください。

 さて、ここ最近は人物試験に関する会議が続いておりますが、今回も人物試験に関する話題を取り扱いたいと思います。

 受験生の皆様におかれましては、まだまだ現時点では筆記試験対策に追われていると思われますので、息抜きと併せて、軽い人物試験対策の参考に、記事を読んでいただけたらと思います。

 ではクラフト副長、よろしくお願いします。

クラフト副室長:

 今回は人物試験におけるマナーの一つ、人物試験時の服装について、公務員試験対策室の人事担当である私が話を進めましょう。

 服装は受験マナーにおける基本中の基本ですが、就職活動等の経験がない新卒の方などは、案外軽視しがちですからね。

 以前にも申し上げましたが、人物試験の基本は、面接官にいかに「いっしょに働きたい」と思われるかです。

 面接官に同じ職場で働きたいと思われるには、当然相手に好印象を与えなければなりませんが、心理学的な見地からも人の第一印象というものは、ほとんど「見た目」で決まるとされています。

ファーバー主事:

 その議論には、よくメラビアンの法則が引用されますよね

クラフト副室長:

 そうです。ちょっとうんちくを話しましょう。

 メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した法則で、「話すときの声の感じ(口調)が聞き手の感情や態度に影響を与える」という事実が立証された実験に基づく法則です。

 この研究は好意・反感などの態度や感情のコミュニケーションについての実験なのですが、それによると、人の行動が他人に及ぼす影響は、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合だといいます。

アルテ室長:

 話の内容はわずか10%にも満たないということか。短い時間で相手に与える印象は、ほとんど口調などの雰囲気や見た目で占めるということだね。

クラフト副室長:

 厳密には、この法則から即座にすべてのコミュニケーションにおいて見た目や口調が印象という点で絶対的に優先するとはいえないのですが、少なくとも「相手に評価される」という面接試験のようなコミュニケーションの場においては、見た目や口調が相手に与える印象の大部分を占めるということは間違いないといえるでしょう。

 さらに、人の第一印象というものは、その人の存在を意識してから10~30秒ほどで決まるといわれているので、面接では面接室のドアをノックしてから席に座るまでの数秒程度の間にその人の印象がほとんど決まってしまうことになります。

ファーバー主事:

 面接試験なんてせいぜい10分から30分間程度ですから、その短い時間で相手に好印象を与える上で、髪型や服装などの見た目が重要になることは必然ですね。

アルテ室長:

 レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクス出演の「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」って映画を見たときに、いかに見た目が重要かってのを痛感した記憶があるよ。

クラフト副室長:

 あの詐欺師の話ね。俺もあれ好きです。

 では、服装などの見た目が重要だということは解っていただけたと思いますが、面接時の服装で適切じゃないと思うのは、どんな服装だと思いますか。

ファーバー主事:

 ヘルメットを被っている。

クラフト副室長:

 うん、明らかに不適切だよね。帽子ですらないところがむしろ逆にクールだよね。

アルテ室長:

 もしかしたら、その受験生は工事現場から走ってきたのかな?

クラフト副室長:

 どうでもいいですよそんな推察。

ファーバー主事:

 かつらはダメですか?かぶりものですが。

クラフト副室長:

 かつらはまぁ、例外的に許されるよ。致し方無いよ。

 とにかく、面接時には原則的にはかぶりものは無しの方向で。

アルテ室長:

 全裸に蝶ネクタイは?

クラフト副室長:

 つまみ出されます。っつーか、まず庁舎にすら入れませんから。自宅から出た時点でアウトです。絵的にはおもしろいけど。

ファーバー主事:

 何より、寒いですからね。風邪をひいては、今後の試験にも影響しますし。オリジナリティに溢れているとは思いますが。

アルテ室長:

 靴下のみはどうだ。

クラフト副室長:

 何のプレイですか?

 すんません、ちょっと軌道修正しましょう。大喜利みたいになってるから。

 いいですか。まず相手に与えるべき重要なイメージは、「清潔感」です。

 「清潔感」を見せることが、面接官に良い印象を与える大前提となります。不潔な人にはなるべく近寄りたくないし、絡みたくないでしょ?

アルテ室長:

 臭かったりしたら最悪だね。香水が強過ぎるのもマイナス。ものすごいいいニオイなら話はまた別だけど。

クラフト副室長:

 じゃあ清潔感っていうのはどういうものかと言うと、まず髪型としては、男性の場合はやはりロン毛、茶髪は避けるべき。

 個人的にはロン毛や茶髪も個性のひとつで嫌いではないけれど、面接官の中にはやはり年配の方もいるし、ロン毛や茶髪を毛嫌いする人もいる可能性が高いので、そういった髪型は避けるのが無難です。

ファーバー主事:

 現職公務員の中には実際には茶髪の人もロン毛の人もいますが、少数ですね。

クラフト副室長:

 公務員だからって別に必ずしも堅くある必要はありませんが、何より公務員試験は就職活動なので、常識的に考えて男のロン毛や茶髪はNGです。チャラチャラした感じは面接官に嫌われます。

 男性であれば、短髪がさわやかで清潔なイメージを与えます。長くても目や顔にかからない程度の髪型が好ましいし、髪の毛の色もやはり黒が推奨。

アルテ室長:

 スキンヘッドは?すごい清潔だけど。

クラフト副室長:

 スキンヘッドは推奨できません。どうしてもスキンヘッドにしないといけない理由があるなら致し方ありませんが、なるべくスキンヘッドや坊主頭は避けるべきです。

ファーバー主事:

 奇抜な髪型は、どうしても何らかの違和感を与えてしまいますからね。

クラフト副室長:

 また、女性であれば、髪の毛の色は真っ黒でなくても構いません。深めの茶色であれば特に面接官に悪いイメージを与えませんし、そもそも女性の場合はあまり髪型はチェックされないようです。といっても、髪の毛が長い場合は結うなりしてスッキリまとめる必要がありますし、前髪も目にかからない程度にするなど、最低限の注意は払うべき。

 いずれにせよ、どんな髪型が清潔感があるか、っていうのを考えたら、だいたい判断できるかと思います。メイクも然りです。

アルテ室長:

 ピアスは?

クラフト副室長:

 男性は論外。アパレルメーカーならまだしも、公務員試験において男のピアスは御法度です。会社人・社会人としての適性を即座に疑われてしまいます。

 女性の場合は上品なピアスであればむしろ洗練されたイメージを与える場合があります。もちろんピアスをしていないならしていないで全く問題ありません。

 原則として、時計以外のアクセサリーは身につけないのが一般的です。

ファーバー主事:

 男性の場合はヒゲもアウトですね。見た目の清潔感がないし、不潔・怠慢な男と見られてマイナス評価を招く危険性が大きいですから。必ず剃るべきでしょう。

クラフト副室長:

 そうだね。首から上は概ねこんなところです。室長とファーバーのボケネタのせいで会議が長くなってきたので、服装編は次回にしましょう。

アルテ室長:

 いやぁごめんごめん。メンゴ!

 ということで、次回も人物試験の服装についての議題となります。

 これにて13回会議を終了いたします。

2009年2月18日

第12回-人物試験の比重-

アルテ室長:

 みなさんおはようございます。第12回目の会議の開催だぞ。

 さて、第11回目の会議「人物試験について」では、「近年の公務員試験は人物重視の採用方法が一般的になっている」、ということについて活発かつ無軌道な議論が展開された訳ですが、今回、「じゃあどれぐらい人物試験重視なの?」ということについて事実確認したいと思い、各種公務員試験における人物試験の占める配点割合を、国家公務員試験についてはクラフト副長に、地方公務員試験についてはファーバー主事に無理矢理調べさせました。

 なお、調査対象は配点が公表されている国及び自治体の大卒程度行政事務系の公務員試験であり、一次試験及び二次試験(三次まである場合はそれも含む)を含む全試験科目の合計点数に占める人物試験(個別面接、集団討論、プレゼンテーションなど。教養論文は除く)の配点合計の割合を調べます。

 ということで、2人とも、調査結果の報告をよろしく。

クラフト副室長:

 忙しい中調べましたところ、国家公務員試験については以下の通り。

 「試験種:人物試験割合(人物試験配点/試験総合計点)」で表記。

  • 国家1種:15.3%(2/13) 
  • 国家2種:12.5%(1/8)
  • 国税専門官:22.2%(2/9)
  • 労働基準監督官:合否判定のみ
  • 法務教官:合否判定のみ
  • 裁判所事務官1種:50.0%(4.5/9)(3次試験まで含めて。2次試験では合否判定のみ)
  • 裁判所事務官2種:50.0%(3/6)

【出典】:

アルテ室長:

 オイオイオイ。裁判所事務官は確かに人物試験が試験合計点の半分を占めているけど、国1や国2は15%前後で、国税でも22%程度。労基と法務教官に至っては合否判定のみって、明らかに人物試験軽視じゃないかコレ。

 話が違うぞ君たち。裁判所を除いて、国家公務員試験は全然人物試験重視じゃないじゃないか。

クラフト副室長:

 いや、確かに国家公務員試験においては、「試験に最終合格する」上では今でも人物試験の位置づけは原則的にネガティブチェックだと思いますが、国1や国2では「官庁に採用される」ためにガチガチの人物試験である「官庁訪問」をしないといけないので、結局採用されるためには厳しい人物チェックのフィルターをクリアしなければならないんです。

 また国税や労基、法務教官については、職務の性質上、一般的に行政事務よりも対人能力や交渉力的なものがより一層要求される職種なので、従来から人物重視で採用されていることはまず間違いありません。

ファーバー主事:

 それはそうだと思います。ボクの実体験でもあるんですが、例えば国税では、面接で好印象であれば、最終合格順位が下位であっても優先的に採用されることがありますから。

アルテ室長:

 フーン。まぁ、国は要するに以前からある程度人物重視の採用試験だったってことかな?じゃあ地方自治体はどうなの。

ファーバー主事:

 地方自治体については以下の通りです。

 なお、配点を公表している全自治体を調べるのはマジしんどいので、配点を公表している比較的規模の大きい自治体について、都道府県及び政令指定都市をそれぞれ3自治体ずつランダムにピックアップしております。全て行政事務の上級職です。

 「自治体名:人物試験割合(人物試験配点/試験総合計点)」で表記。

  • 大阪府:53.0%(53/100)(3次試験まで含めて)
  • 福岡県:45.5%(100/220)
  • 広島県:33.3%(60/180)
  • 川崎市:75.0%(600/800)
  • 静岡市:70.1%(375/535)
  • 神戸市:55.6%(500/900)

【出典】:

LASDECのホームページから各関係自治体の平成20年度試験案内より)

アルテ室長:

 フム。政令指定都市は軒並み人物試験の配点割合が高いね。川崎市や静岡市に至っては7割って、完璧に人物勝負だねコレは。やべぇ、私でも受かるんじゃないの?

クラフト副室長:

 スンマセン、室長は例え筆記試験ができたとしてもムリです。人間的に少々アレなんで。

アルテ室長:

 はっはっは。副長、殴ってもいいかな?

ファーバー主事:

 都道府県については、ここで挙げた3自治体についてはややばらつきはありますけど、概ね配点割合はどこの自治体も5割前後だと思われます。

 東京都とかは配点を公表しておりませんが、試験内容を見てもかなり人物試験の配点割合は高いかと予想されます。

アルテ室長:

 まぁでも人物試験が5割前後の配点なら、要するに試験全体で見れば筆記試験と人物試験が1対1の割合だから、別に「人物試験重視」というほどでもないと思うけどね。筆記も人物も同じぐらい重要だってことでしょ。

クラフト副室長:

 それはその通りですね。まずは筆記試験に合格しなければ、そもそも人物試験に辿り着くことさえできませんから。

 ただ、1次試験を合格すればほぼ最終合格が決まっていた以前の公務員試験に比べると、現在は明らかに人物試験の配点割合は上昇していますし、何より人物重視の傾向は今後さらに強まっていくと予想されますからね。人物試験対策は極めて重要ですよ。

アルテ室長:

 民間経験者等の面接慣れしている人や対人交渉に慣れている人に有利だね。

ファーバー主事:

 民間経験者を積極的に採用する方向に制度を変えてきている自治体も増えてます。財政状況が厳しい自治体は、とにかく即戦力が欲しいんでしょう。

クラフト副室長:

 北海道庁や東京都庁は平成21年度試験から択一式専門筆記試験を廃止するなど、大幅な試験方法の変更がありましたからね。今後他の自治体もそういった流れに追随するのかどうかは現時点では判断しかねますが、そうなると公務員試験の対策の仕方も大きく変えざるを得ないですから、今後の動向に注意しないといけないですよ。

アルテ室長:

 社会情勢の変動に伴い公務員試験情勢もめまぐるしく変化しているということか。

 待てよ?・・・っつーか、もし択一式専門試験が全自治体で無くなったら、公務員試験対策室のサイト内容も大幅に変更しないといけないじゃないか!編集すんの結構大変なんだぞ!?

 畜生東京都め余計なことををを!シット!ブルシット!!

クラフト副室長:

 落ち着いてください室長。ひとまず今後の動向を見守りましょう。話はそれからです。

 それに、編集する室長より記事を考える我々の方が大変なんですから。

ファーバー主事:

 そうですよ。何より、一番大変なのは受験生なんですから。

アルテ室長:

 そ・・・そうだね。ゴメンゴメンちょっと取り乱しちゃったかな。とにかく受験生のみなさんは、取り敢えず今年の受験に向けて必死に頑張るしかないもんね。

 今後も公務員試験関係で大きな話題等があれば、積極的に会議室で取り上げていきたいと思っております。

 なお、今回取り上げた各種試験の配点割合等は、もしかしたら数字が間違ってるかもしれないから、正しいデータは直接確認されますよう、よろしくお願いします。

 これにて第12回会議を終わります。

2009年2月 6日

第11回-人物試験について-

アルテ室長:

 ファーバー主事が「仕事が忙しい」などとのたまうのでなかなか更新できませんでしたが、「仕事よりもサイト運営だろ?」強めに指導することにより、今回なんとか第11回目の会議を開催するに至った次第でございます。

 2月に入り、受験生の皆様もアクセル全開で公務員試験勉強に励んでおられることと存じますが、アクセルを踏みすぎてレッドゾーンに突入、エンジンが焼き切れるといったことにならないよう、適度に息抜きすることも忘れないようにしてくださいね。 

 さて、受験生の皆様におかれましては、まだまだ筆記試験対策に追われる日々だと思われますが、本日は公務員試験の2次試験で課される面接等「人物試験」について、公務員試験対策室職員同士で適当に討論したいと思います。

 ということでお二方、面接で成功する秘訣って何だと思う?

クラフト副室長:

 人事にはちょっとうるさい俺ですけど、一言でいうと、面接官に「一緒に働きたい」と思わせることができるかどうかだと思いますね。 逆に「こいつとは働きたくねーな」と思われたら、まぁアウトでしょう。当たり前ですけど。

ファーバー主事:

 同感ですね。面接対策は、「面接官に一緒に働きたいと思わせるにはどうしたらいいか」ってところから始まるんだと思います。

 「素の自分を見てもらって、組織に欲しいと思うなら採用してくれや」って強気にいけたら最高ですけど、将来を決める就職試験においてそんなギャンブル的行為はなかなかできませんもんね。

 採用後のことを考えたら、素の自分を評価してもらって採用される方がいいに決まってますけど。

アルテ室長:

 最近の公務員試験における人物試験はレベルがあがってるっていうから、計算なくして臨むのは危険だろうね。昔の公務員試験は、筆記試験さえ通れば概ね合格だったみたいだけど。

クラフト副室長:

 そうですね。従来の公務員試験は、1次の筆記試験さえ通れば、2次の人物試験では「明らかにヤバイ人物を落とす」というネガティブチェックが普通だったわけです。ところが近年では、「凡人より何か秀でた点を評価して採用する」という、ポジティブチェックが一般的になっているんです。

 要するに近年の公務員試験は人物試験重視になってきてるわけです。

アルテ室長:

 昔はなんでネガティブチェックの試験だったの?公務員は国民の生活を左右するような業務に携わるわけだから、「勉強さえできれば後は変人でなければOK」みたいな採用方法だと、あとあと支障出てくるのは常識的に予想できると思うんだけど。

ファーバー主事:

 昔の公務員試験受験者が本当に勉強のできるヒトばかりだったか、というと、そういうわけでもないと思いますよ。

 職場の先輩方から聞きますけど、昔は公務員試験そのものがそんなに難しくなかったっていいますし。特にバブルの時代なんか、「公務員になりたい?は?何考えてんの?」ってぐらい、薄給の公務員は人気がなかったんでしょ?

 人気がなかったら必然的に仕事がバリバリできるような優秀な人材は集まりにくくなるし、「厳選採用する」なんてスタンスで人物試験なんかに力入れてたら、十分な数の職員を確保できなかったのでは。いや、一応フォローいれときますけど、優れた先輩はたくさんいますよ。ええほんとに。

クラフト副室長:

 というか単純に、職員採用試験に力入れるのが面倒だったんじゃないのかな。集団討論を企画したり何回も面接したり、要するに人物試験に力入れるのって、採用する側からしたら結構手間だよ。

 そして、昔は公務員の仕事内容そのものが、それほど仕事がバリバリできる人でなくてもこなせる程度のものだったんじゃないの?

ファーバー主事:

 今でも「この仕事って、誰でもできるじゃねーか」みたいな内容の業務が存在しますからね。少なくとも地方公共団体においてはですけど。

クラフト副室長:

 昔は今のように複雑で高度化した社会じゃなかったから、ある程度決まった仕事、マニュアルに沿った仕事さえできれば、社会はそれほど問題なく回ったんじゃないかな。

 誰でもできる仕事を普通にこなす上では、それほど優秀な人材でなくてもいいもんね。何より、個人が仕事を少し失敗したところで、国や自治体はつぶれないですから。

アルテ室長:

 民間はそうはいかないもんね。利益追求だから、適当な採用試験でろくに仕事もできない職員を採用してしまったりしたら、会社の存続に直接影響するもん。

 本当に自社の利益を考えるなら、社員の家族やお得意様の息子って理由だけで、会社に不利益を及ぼすほどに無能なボンクラをコネ採用することなんてできないもんな。まぁ、無能な人間を採用試験で間違って採っちゃうよりも、有能な人間をコネで自社に入れる方が会社にとってはプラスになると私は考えるから、コネそのものを全否定するわけじゃないけどね。

ファーバー主事:

 ところが、国や自治体もやっぱり会社と同じだったってわけですか。

 筆記試験偏重による画一的な採用試験方法を続けてきた結果、今や国や自治体が傾きかけてますからね。現に傾いているところや、倒れたところもありますけど。

クラフト副室長:

 国や自治体が傾きかけてる理由はもちろんそれだけじゃないけどね。原因の一つではあると思うけど。

ファーバー主事:

 まぁ、集団討論や集団面接を取り入れたり面接の回数を増やして「人物試験重視」にしたとして、その試験に合格した人間が必ずしも入庁してから「公務員として必ず活躍する」とは、限らないとは思いますけどね。だって受験生は、試験用に対策してくるわけですから。

アルテ室長:

 確かに。本当にその人間が公務員として相応しいかどうかを判断しようと思うなら、それこそ「試用期間」みたいなものを設けて、入庁後数ヶ月間ぐらい実際に働いてもらってから見極める、といった形式をとるほうが、よっぽど採用試験として優れた方法だと思うけどな。

クラフト副室長:

 それこそ、そこまで採用試験に時間とお金をかけることができないんでしょう。採用する側からしたら、また筆記試験をやり直して人物試験をやってってなると、ものすごい負担となりますからね。

 それに、「試用期間」制度を導入したとしても、新規採用者がその「試用期間」だけ必死で頑張って、試用期間を過ぎたら急にテンションを下げる、なんてことも有り得ますからね。どこかで線をひかないとキリがないですよ。

アルテ室長:

 うーん、採用試験ってのは、難しいね。まぁ、取り敢えずまとめるよ。

 戦後日本は高度経済成長を遂げて、国民の生活水準が向上するとともに、住民の日常生活や経済活動の範囲が大きく広がった。それに伴って、住民の行政需要が複雑多様化、高度化・専門化してきた。

 従来のような筆記試験重視による画一的な職員採用方法では、複雑多様化した社会のニーズに柔軟に対応できなくなってきたのだ。

 ところが、そういった社会の動きを無視して人物試験の軽視やコネ採用を続けてきた結果、国家レベルの財政難、大阪市の裏金問題をはじめとする終わりの見えない公務員の不祥事など、公務員を取り巻く数々の致命的な問題が浮き彫りになってきた。

 そういういろんな反省を踏まえて、現代社会の行政需要に対してクリーンかつ柔軟で適切な対応をするための体制を整えるとともに、国や自治体そのものを立て直すために、国や自治体は優秀で多様な人材を集めることに躍起になり始めたというわけだ。

クラフト副室長:

 あ、なんかそんな感じですね。なんか室長、珍しく難しいこと言ってますね。

ファーバー主事:

 っつーか、人物試験対策についていろいろ議論を展開しようと思ってたのに、ちょっと趣旨変わっちゃいましたね。

 人物試験対策っつーか、「最近の公務員試験はなぜ人物試験重視なのか」みたいな会議になっちゃいましたね。

アルテ室長:

 いきなり冷められても。一生懸命おまえらの考えをまとめたのに。

 まぁとりあえず今回はここまでにして、人物試験対策に関する具体的な事項は次回以降ということで、第11回会議はお開きにします。